紅茶までいれてくれて、静かに譲さんは座った。
『どうぞ?』と言うように、微笑む。
聞こえないくらいの小さい溜息をつく。
「譲さん。あたしの家族のことについて、教えてください...」
「その話なら、前にもしただろう?」
少しだけ言葉に詰まった譲さんは、はぐらかすように紅茶を一口飲んだ。
「未来さん...悠さんは、誰ですか?」
『未来』と聞いた瞬間、譲さんの動きは止まった。
そして、静かにカップを置いた。
「もう...知っているんだね」
まだ迷っているのか、視線は下を向いている。
コクリ、と頷く。
「分かった。話そう」
唇をキュッと閉じて、譲さんの言葉を待つ。