「そうだけど...。あなたは何者なの?」



少し警戒したけど、正体を教えてくれなかったら怪しい。



だから、尋ねた。



「丹雫 夏目[ニシズクナツメ]。知ってる?」



「えぇ...。化粧品で有名な」



普通に、躊躇いもなく答えたってことは、特に怪しいわけじゃないはず。



丹雫グループは本当に実在するし、確か代表の息子の名前も夏目だったはず。



「夏目ね。よろしく」



「わあ。いきなり呼び捨てかぁ...」



「イヤだった?」



「ううん、別に構わないよ」



呼び捨てするのは、あたしの癖。



それよりも...。



ふぅ、と息を吐く。



「なに、警戒した?」



楽しんでいるような声。



うん、と頷いた。



あんまり警戒しちゃダメだよね。



相手にとても失礼だし。