木のドアを引くと、落ち着いた優しい香りが漂った。 久し振りかも。図書室に来たの。 何人借りたのか解らないほど、くたびれた背表紙。 そっと優しく撫でる。 すると、目に入ったのは奥の空間。 机の脚が見える。 日当たりもいいし、寝ると気持ちいいかも。 想像したら笑みがこぼれそうだった。 誰もいないけど、1人で笑ってるのは変だよね。 本棚を通り過ぎ、空間へと足を進める。 しかし思わず息を止めてしまった。 だって人がいたんだもの。