「『お母さんが椎の婚約者をついに紹介したの!』って嬉しそうに話してたから、てっきり歩ちゃんのことだと思ってた」




いちごのショートケーキをフォークで口に運ぶ。




いちごのタルトに目線を落とす。




紀子さんは、教養のある美咲さんを選んだんだ。




張り合ってもないのに、敗北感を味わうんだ。




「気を落とさないで。母さんのことだから、何も考えずに選んだのよ」




苦笑して溜息をつく桃さん。




でも、紀子さんならやりかねない。




ちょっとだけ、そうなのかもってポジティブに考えた。