「着ていらっしゃらないのに、変に感じないのはルックスがいいからかしらね~」
「本当に。譲様と紀子様のDNAを引き継いでいらしゃるわね」
椎ってば、既婚の方からも人気があるんだ。
誇らしい気分と、ちょっぴり疎外感を味わった。
《早く婚約者を発表しろとの苦情がございましたので》
ドッと会場が笑いに包まれる。
《発表しますね♪》
子供みたいに笑う紀子さんが合図をすると、
会場全体のライトが消えた。
ゴクリと息を呑む。
くる、かもしれないんだ。
ドクドクと心臓の鼓動の速さは尋常じゃない。
スポットライトが明るくて
なぜか虚しかった。