「あーあ、だから歩はそそっかしいんだよ」 さっきとの声とギャップがありすぎて、混乱する。 「え...、あ、うん」 とりあえず、頷く。 すると、いきなりあたしが着ていたジャケットを脱がした。 「ひゃっ?!」 暖かさが違う温度差に、体が慣れてない。 そして、そのジャケットを夏目に投げる。 「これは、俺が歩にー...」 突然だったから、夏目は椎に言い返した。 「うるさい。それに、気安く呼び捨てにすんな」 椎らしくない、低い声だった。 そのまま、あたしを押して会場から出た。