「面倒だからって、投げ出すのは...」 後ろを向いて椎の顔を見る。 「覚えた」 ダルそうに頭を掻く。 『覚えた』...? ほんの数分で覚えられるはずがない、と眉間に皺を寄せる。 「大丈夫。だから、そんな睨むなって」 睨んでいたことに、目線を落とす。 大事な護衛対象を睨むのは...、ダメだったよね。 椎が歩き出したから、そのあとを続く。