瞼を開け、鏡を見ずに家政婦さんを見る。
ニコニコと微笑みながら、1着のドレスを持っている。
「あー...、着替えるのは自分でしますので...」
ジャケットに手を添えながら、引きつった顔で伝える。
「「いいえ」」
一向に部屋から出ずに、首を横に振る。
「椎様から、言付かっておりますし、ヘアスタイルもまだなので」
じりじりと目を光らせて近づく2人...。
あたしも同じように、後ろへ下がる。
あ...、壁...。
あたしは追い詰められた。
「いやぁぁぁああああ...」
悲鳴が家中に響いたのは、言うまでもない。

