「・・・仮に会ったとして、何を話すんです?」 「俺が決めること?」 速水さんはいたずらっぽく笑う。 私自身、だんだん熱が冷めてきたような感覚におそわれた。 「・・・優斗くんに会ったら、ここに戻って来られない気がします。 いつもの日常が、全部消える感じです。 秋成に会ってから、そんな夢ばかり見ます。」 「・・・全部失っても、ここに戻って来られなくても、高山には優斗がいるよ。」 2本目の煙草を灰皿に押しつける。 私を貫くように見据えて。 速水さんの真剣な顔が怖かった。