その仮面、剥がさせていただきます!

「友達か……」

リクは口に手を当て考え込むように呟く。

リクの答えを待つ間、喉の奥が詰まったみたいに息苦しい。

「リツはそうしたいんだよね?」

「うん……」

何度もあたしの気持ちを確かめるリクに期待してしまう自分がいる。



「……うん。分かったよ」

でも。

やっぱり期待通りには絶対にいかない。

リクにその答えを言わせたのは自分なのに、確かめるようなことをしても結果は分かっているのに、あたしはリクに『リツとは別れたくない』って言ってほしかった……


「それじゃ、これからは友達としてよろしくね」

そうリクに言ったあたしは今ちゃんと笑顔を作れているんだろうか?

だめ……

また泣きそう。

言葉と気持ちがちぐはぐで、これ以上ここにいるのが辛い。


「あたし、帰るね」


もう春樹もあの部屋にはいない頃だろう。

帰ろうとソファから立ち上がると、リクがあたしを見上げた。

「リツにお願いがあるんだけど」

上目使いであたしを見るリクにドキリとさせられる。

「な……に?」

「あのね。春樹やみんなにはまだ付き合ってるってことにしてほしいんだけど」

いつものように表情からはリクの感情は分からないけど、あたしは思い出したように頷いた。

春樹も言っていた。

あたしとリクは今まで通り付き合っているふりをしろと。

その理由もよく分かっている。

「うん。いいよ」

本当にそう答えて良かったのかは分からないけど、今まであたしに優しくしてくれたリクの力に少しでもなれればそれでよかった。

「それじゃ……」

今度こそは帰ろうと歩き出した時、あたしのお腹がグウッと鳴る。

あたし。最後までカッコ悪いよ……