その仮面、剥がさせていただきます!

「最初から分かっててお前はこいつと付き合ってたのかよ!どうしてだ?」

そう。なんで?

春樹があたしを通り越してリクに掴みかかりそうになったもんだから、あたしは思わず後ろに仰け反る。

「どうしてって……付き合ってって言われたから」

「あのなっ!少しは自分のことも考えろよ!『女の子には優しく』なんか、こいつらには通じねえんだよ!」

興奮した春樹がリクの首元に掴みかかると、傍に居たあたしが間に入ってリクから引き離そうとした。

でも、掴んでいる春樹の拳が固くて引きはがせない。

「あたしが悪いんだよリクが悪いんじゃない。だからこんなこと止めて」

「ああそうだよな。元々はお前が悪いんだ。陸人のことを玩具に思ってるお前らが悪い!」

リクを解放した手をだらりと下げた春樹はあたしを上から睨みつけて言い放つ。

「オモチャ……オモチャなんか思ってないよ」

「そうか?」

春樹の冷たい目があたしを捉えている。

「あの人たちと一緒にしないで!!」

女子軍団に囲まれた時、あの女が言っていたことを思い出した。

リクは物じゃない。

リクと付き合えればそれが良い思い出になる?冗談じゃない!

「お前のやってることは彩花たちと同じだと気づけよ」

違う……それは違う。

本当に違う?

「最初はそうだったかも分からない……けど、今は違うよ」

理想の彼氏を演じているリクに最初は戸惑ったけど、リクの優しさは本当だってそう思う。

今日の遊園地でだって、自分が苦手で乗れないのにあたしが楽しそうだったからってムリして乗ってくれたんだよ。

そんなこと普通できないよ。

あたしに気持ちのないことは分かっている。だけど、あたしはリクのこと……

「好きになったから。あたし、リクのことが好きだから」

そう……

あたしは王子を演じているリクのことが好きになってしまったから。