その仮面、剥がさせていただきます!

「あのさ、リツこの人誰?」

どうやらこの場面よりもリクは拓にぃのことが気になっているみたい。

って、そんなのどうでもいいじゃない?

「あ、オレ?オレはだな。律子の兄貴みたいなもんだ」

「兄貴じゃないんだ」

「イトコだ」

「そう……それで、イトコのあなたがどうしてここへ?」

いやいや。それこそ今はそんなことどうでもいい話しじゃない?

リクはこの張りつめた空気が分からない?

見えない黒い蒸気が身体から出てきているみたいに、隣にいる春樹の存在があたしには脅威だっていうのに。

「今晩ここに泊めてもらおうと思ってさ。なんなら暫く置いてもらおうかな。なんか楽しそうだし」

「それ却下ね」

即答であたしが返す。

冗談じゃない。拓にぃの悪気のある行動がどれだけあたしに迷惑こうむってるか、あんたに分からないの?

一秒でも早く帰ってほしいです。

「ふうん」

納得したのかしてないのか、リクは頷くと、拓にぃの探偵ごっこがまた再開してしまった。

「それで、本題に戻すとだな。律子は友達に頼まれて陸人くんと付き合った。そのことを君はどう思う?」

リクに向かって拓にぃが聞く。

あたしはもうどうでもいいやと諦めモードで拓にぃの話しを耳端で聞いていた。

「別に俺はなんとも」

「なんとも思わない?」

そう。何とも思われていないっていうリクの答えは分かっているのに、傷ついてるあたしがいる。

もうこれ以上傷口を広げないでほしい……

願ってもムダで、リクが喋りはじめる。


「だって、知ってたから……」


「へ?」
「え?」


春樹とあたしの声が重なった。


知ってたって今言ったよね。

さらりと、当然のこと様に今言ったよね??

「いつから気づいてた?」

あたしの代弁をするように春樹がリクに問う。

「いつからって……初めから?」