その仮面、剥がさせていただきます!

右にリク。左に春樹。

あたしは両側を挟まれる形で小さくなって座っている。

「陸人、こいつはな、ただ言われてお前と付き合ってるだけだ」

「そう……なんだ」

捨てられた子犬のような目で右側のリクはあたしを見る。

「リク……」

あたしはリクにどう説明すればいいのか分からず、言葉を詰まらせた。

「だからもう恋愛ごっこはお終いだ。陸人だってもうこれで懲りただろ?いつも言ってっけど、女って所詮こんなもんだ。数こなしたところで、陸人が思ってるような女はいない」

思っているような女?

あたしの身体がピクンと動いた。

「それってどんな女?」

「お前には関係ないの!部外者は黙ってろ」

「部外者っていうんだったらそれはあんたのほうでしょ?」

「は?減らず口叩く女だな!」

左側の春樹と睨み合いが続く。

大体、この状況を作ったのだって春樹がここに来たからでしょうが!


「まあまあまあ」

あたしと春樹の中を言葉で割って入ってくる拓にぃ。

一番の元凶はこいつだった!!

拓にぃはコホンと業とらしく咳払いをすると話しを続けた。

「春樹くん。君は律子と陸人くんが付き合ってることが気に入らないんだね」

「いいや。別に付き合ってることが気に入らないんじゃない。俺はただ……陸人が女に振り回されてんのが心配なだけで」

「ほう。それは友情でということでだろうか?それとも別の感情で?例えば恋とか……」

おいおい。お前はどこかの胡散臭い探偵かなんかか?

拓にぃのアホ臭い問いかけに、春樹の顔が一気に赤く染まった。

え……?もしかして?

「そ、そうなの?」

春樹はリクが好き……?

それって、男と男がアレしてコレして腐女子が萌え~するボーイズなんとかってやつ!?

あたしは首をぶんぶん回して、春樹とリクの顔を交互に見た。

「ご、誤解すんな!陸人のことをそんな風には思ってない!!」

なんだ。そうなんだ。

あたしに対する春樹の態度を見てると、そうであってもおかしくないなって、今あたしそう思ってしまったよ。

慌てて否定するところなんかちょっと怪しかったりするけど……

「では、春樹くんは女が好きだと?そういうことかね」

「ま、まあ……」

フムフムと納得したように頷いてるあんたは何者なんだ?

「それじゃ陸人くん。君は律子のことが好きで付き合っているのかね」

は?

「ちょっとその質問待った!そんなこと今聞かなくったって……」

だって、リクはあたしのこと好きって言わないよ。

それはよく分かってるから。

「では、質問を変えよう。陸人くんは春樹くんと律子。どっちが好きなのかね?」

「その質問も却下!」

この状況を楽しんでいる拓にぃに呆れ返る。

「あのさ」

今まであまり発言しなかったリクが口を開いた。