その仮面、剥がさせていただきます!

またニタッと笑った拓にぃだったけど、今まで見ていたテレビを消すと、持っていた箸を置いた。

「それで、律子はどうしたい」

「だからあたしの話しじゃないんだってば!」

「そいつ、律子に気持ちないんだろ?だからお前は悩んでる」

う……

その通りです。

そこまで言った覚えはないのに、さすがは恋愛上級者。

おまけに友達の話しじゃないこともお見通しときている。

「そいつの気持ちをこっちに向けるって高等手段はお前にはムリだ。そんな完璧主義のやつはだな」

「うんうん」

どうすればいいの?

拓にぃの助言を得るべく、身体が前に出る。

「そんなやつはだな……」

「だから、どうすりゃいいのよ?」

机を挟んだ向こうの拓にぃに顔を近づけるように更に身体を前のめりに突き出した。

その時、玄関のチャイムが鳴る。

もう!いいとこだったのに!


「誰か来たぞ」

そう言いながら、拓にぃはお弁当を食べ始めた。

「拓にぃ出てよ。新聞とかの勧誘だったら男の人の方が断り易いでしょ?」

あたしの言葉に拓にぃは仕方なく立ち上がるとリビングを出て玄関に向かった。

最もな言い分だけど、あたしはただ単に面倒で拓にぃに押し付けただけなんだけどね。

玄関で何やら話しをしているようだったけど、あたしは別に気にすることなく、拓にぃが消したテレビの電源を入れると、お弁当に箸を付けた。

「お前にお客さんだぞ」

拓にぃがそう言いながら入ってきたから、あたしはご飯を口の中に含ませたまま開いた扉を見る。

拓にぃの後に続けて入ってきた人物を見たあたしは口の中のご飯を吹き出してしまった。

「きったねえな」

「わっ。ご、ゴメン」

テーブルの上に置いてあった布巾で散らばったご飯粒を片付けていると、拓にぃが連れてきた客人をあたしの隣に座らせた。

「どういうことか説明しろ」

隣に座った訪問者は開口一番にそう言った。

「どういうことって、そっちこそなんでここにいるのか説明してほしいんだけど」

「お前な!」

「言っとくけど、あたしは、好きでここに引っ越してきたわけじゃないからね!」

あたしと隣の男のやり取りを面白そうに拓にぃが見物している。