「やっぱり来たのか」

澤田先生が一人で先に始めていた。


「もう少しで終わりそうだから最後までしようかなって」

「大丈夫か?最近元気ないけど、海道とは……」

「先生!」


椎名くんの存在に気づいた先生はハッとして口を閉ざす。


「海道と何かあった?」

「ううん。何でもないから」


椎名くんにもそう言うしかない。

それにあたしはまだリクとのことを諦めきれない。


もうどうしようもないと分かっていても諦めの悪いあたしはバカなのだろう。



「澤田先生お電話が入っています」


女の先生が澤田先生を呼んで準備室には椎名くんと二人きり。


「椎名くんは見てるだけだからね。絶対手伝ったりしないでよ」


プリントを取ろうとする椎名くんの後ろから念を押すように言うと椎名くんは渋々椅子に座った。