リクの顔を見上げると戸惑いの表情をしたリクが寂しそうに笑った。


「お風呂に入ってくるよ」


すぐにあたしから顔を逸らしてお風呂場に向かうリクの後姿をぼやけた視界で見送った。


涙で膨らんだ目からすぐにポロポロと大粒になって溢れ出てくる。


「リク……酷いよ」


その場に崩れ落ち嗚咽を押し殺して泣いた。



あたしはここにいちゃいけない。


リクの本当の気持ちももう知りたくない。



ベッドの上にあった抱き枕と置いてあった荷物をかき集めるとあたしは隣の部屋へと帰った。




もう自分を誤魔化せないよ……




抱きしめたリクからしてきた香水の匂い。


リクの唇の端に光っていたグロス。




それはあたしを好きじゃないっていう証拠……だよね。