「もう今日は何にもしないから、そいつ離してくれる?」
「そいつって……」
もしかして抱き枕?
リクはあたしから無理やり抱き枕を引きはがすとベッドの下に放り投げた。
「これで良し」
何がいいのかよく分からないけど、そう言ってリクはベッドに仰向けに寝転んだ。
そして腕をあたしの方に伸ばすと自分の肩をトントンと叩く。
「なに?」
「何って腕枕」
ニコリと可愛らしく笑うリクの肩にあたしは恐る恐る近づいて頭を乗せた。
もしかしてだけど。抱き枕にヤキモチ?
かわいいリクの嫉妬につい顔が緩んでしまうけど、リクが何度嫉妬しようと、リクが何度あたしにキスをしたとしても、あたしの気持ちはどこか晴れない。
好きっていうのは言葉だけじゃないかもしれない。
だけど。あたしはどうしてもリクの口からその言葉を聞きたい。
その夜。あたしは身体を小さく縮めてリクの呼吸を感じながら眠りについた。