「そうじゃなくて。上手く説明できないけど。それはあたしじゃなくても誰だって同じなんだってそう感じたんだ。だから『彼女』っていうポジションはあたしにはムリかなって」

「やっぱよく分かんねぇや。けど。お前がちゃんと考えてるっていうことは分かった。
悪かったな。こんなこと話させて」


あたしの前に立っていた春樹が隣に座る。


「あんたに聞いても仕方ないだろうけど。どうしたらいいんだろうね」



フッと笑うと春樹の手があたしの頭の上に乗せられた。



「陸人がどうこうじゃなくてお前の気持ちはどうだって話しじゃね?」


あたしの気持ち……






準備室に帰ると浩太があたしの顔を見て言った。


「あまりいい話じゃなかったみたいだね」

「え?」

「ううん。なんでもない」






浩太が部活に行く時間になったからあたしも今日は早く帰ることにした。


いくら考えても同じところをグルグル回っているように出口が見えてこない。


でも。春樹と話しをしたことで少しだけ前に進めそうな気がしていた。


嫌な奴だって思ってた春樹でも、きちんと話せば印象が違ってみえる。


リクともっと話せばこの迷路から抜け出せるんじゃないのかってそう思えてきた。