いやいや。勘違いはいかん。


これはきっとこういうことだ。


昔の話しをしているうちにリクは寂しくなったんじゃないのかな。

自分は誰からも愛されてないんじゃないのかって、今すごく寂しいんじゃないのかな。


だから、たまたま傍にいたあたしの腕を引き寄せた。


それは誰でも良かったんだよ。


運よく今はあたしがリクの傍にいただけ。


「大丈夫だよ。リクは一人じゃないから」


あたしに出来ることはリクをもっと安心させてあげることだけだ。


もうドキドキなんて……リクに胸をときめかせたりなんて……



…………。




それはムリかも。


リクの背中にはきっと伝わってる。


あたしの尋常じゃないほどの心臓の音が。



「リツ」


あたしの名前を呟いたリクは掴んでいた手を緩めるとゆっくりとあたしの方を振り返った。