ルンルンで真新しい食器を洗って棚に片付けるあたしを面白くなさそうに見つめている輩が一人。

「なんで全部お揃いなんだ?」

納得いかない春樹にニタつきながらあたしはこう答えてやった。

「それはね。愛だよアイ。分かる?」

「ブッそれはない」

「じゃあ。いったいなんだっていうのさ~」

キャっと足をバタバタさせながら喜ぶあたしを仏頂面で見返す。

「ほらな。そうやって勘違いする」

「勘違いじゃないかもよん」

「だったらオレが直接陸人に聞いてやる」

「ちょい待ち」

脱衣所にいるリクの元に春樹が行こうとするのを止めると春樹はフンと鼻で笑った。

「やっぱ。自信がないんだな」

「違うよ『聞いたところで答えは分かってる』でしょ?」

「まあな。そうかも」

「だったらリクから言ってほしいかなって……」

照れながら下を向いたあたしに春樹がブッと吹き出した。

「自惚れるにもほどがある」

「だって。そうするしかリクの気持ちを知れないじゃない」

「そうかもしれないけど。陸人は絶対言わねえよ」

それだけは自信があるようで胸を張りながら言う春樹に尋ねてみる。

「どうしてリクは言わないって分かるの?」

春樹はあたしの「なんで?」とうい目から自分の目を逸らすと、困った表情に変わっていった。

「それは……言えない」

「ふ~ん」

リクのことを春樹から無理に聞き出そうとは思わない。

あたしはきっとまだリクのことをあまり知らないと思うから。


これから少しずつでもいいから知っていけたらいいな……