その仮面、剥がさせていただきます!

あたしが自分の方を見ているって気づいているはずなのに、リクは上を見たままで言った。


「焦ったんだ……」


ちょっと整理してみようか。

リクはあたしが一生リクの気持ちに気づかないって思って焦ってるってことでいいんだよね?

リクのどんな気持ちにあたしは気づいてないんだ?

「も、もしかして……リクって」

「やっと気づいてくれた?」

そうだったんだ……

あたしってば、そんなこと微塵も感じずに今まで当たり前のようにリクと一緒にいたなんて……

「ごめんね。そんなに迷惑かけてたなんて。あたし明日からちゃんとご飯作って食べるから、リクには」

「ちょっと待って。リツ……俺の話しをどういう風に解釈したのか分からないけど、俺はリツのこと迷惑なんか少しも思ってないよ」

「それじゃ……」

いったいなんだ?

後は……

考え込むあたしを見てリクはクスリと笑った。

「そういう鈍感なリツもひっくるめて、俺は大切だって思ってる」

「大切?」

「そう……リツと一緒にいたいって思ってる」

それって言い替えれば『好き』ってことでいいのかな?

好き?

リクがあたしのことが好き……

「えええええっ!」

突然のことで混乱してつい大声を出してしまう。

ホントに?

冗談じゃなく?

だってあたしはリクの理想の女とは全くかけ離れてるんだよ。

「からかってないから安心して」

リクの手があたしの髪を撫でる。

安心なんか出来ないよ。

どこをどうやったらリクがあたしを好きになるとか、そんなの全然分からないからすぐに不安になるよ。


「今日、リツが男の人と一緒にいるのを見た時に思ったんだ『リツは俺のだ』って……」

髪を撫でていた手があたしの後頭部に移動して、リクはあたしにキスをした。