その仮面、剥がさせていただきます!

マンションに帰る前にスーパーに寄り夕食用に惣菜を買った。

昨日ほとんど寝ていないから眠気のピークがやってきて、今日ぐらいは手抜きをしようよというあたしの提案。

あたしが作るわけじゃないから余計にリクに悪くって。

まあ。手伝えよって話だけど。今日は本当に何もできません!(いつものことのような気がするが……)


目を擦りながらあたしは自分の部屋のカギを開ける。

ソッコー布団の中に入って抱き枕に抱きついて寝よう……

ふぁ~と大口のあくびが何度も出てくる。


「今日は付き合ってもらって……ありがとう」

リクも同じように自分の部屋のカギを開けながらそう言った。

こうしてると本当にお隣さんだな……

買ったベッドは明日届くようで、リクは今日もまた部屋では寝られない。

「たまにはあたしんちで夕食食べる?」

帰ってもどうせ寝るのはソファだし、こっちでも同じかな?って声を掛ける。

こっちに入る?とドアを指さすと、開けたカギをまた閉め直しリクも一緒に部屋に入った。

「リツ。眠そうだね」

「うん……転んだら3秒で眠れる自信がある」

リクにと毛布をリビングに持ってくると、あたしは「どこでも好きなとこで寝てていいよ」とリクに声を掛けてから自室に入った。

開けっ放しのカーテンもそのままで、ベッドにダイブしてもぞもぞと布団に潜りこみ、壁側に向き抱き枕を抱えたらすぐに眠りに落ちていった。


どれくらい眠ったのか分からないけど、布団の中で何かが動く気配がして一度目が覚めたような気がする。

そして浅い眠りの途中でリクの声が聞こえた。

「リツ……もう寝た?」

「ん……リク?」

「どこでもいいって言われたから……ここでもいいかな」

リクだって布団の中でちゃんと寝たいのだろうと思い「うん」と朦朧とした意識で答えた。

「眠いのに起こしちゃって悪いけど、リツに聞いてほしいことがあるんだ」

「リク……眠れないの?」

抱き枕を離し、リクの方を向こうと体を動かしたとき「そのままでいいから、聞いて」と動きを止められた。

聞いてほしいことって何だろうって少し不安になるけど、リクが同じベッドで寝てるんだと思うとドキドキしてくる。

「リツが前言ってたよね。言葉で言わないと伝わらないって。あれって本当にそうだって思うよ」

天井を見て話しているんだと背中で感じて、あたしは頷きもせず黙って聞いていた。

「でも、俺は『好き』とか『愛してる』っていう言葉ってやっぱりどこか信用できなくて……言葉で言わなくても分かってくれるって思ってたけど、リツってすごく鈍感でしょ?」

「鈍感?」

「そうだよ。きっと何をしてもこのまま気づかないんじゃないのかって思ったら……」

あたしはゆっくりと向きを変えてリクの顔を見た。