その仮面、剥がさせていただきます!

この爽やか青年は、確かコンビニでお勧めのお弁当を教えてくれた人。

カバーに収められたテニスのラケットらしき物とエナメルバックを肩にかけ、またまた爽やかな笑顔を向けられた。

「彼氏と待ち合わせ?」

「はあ……ま、まあそうですけど」

リクは彼氏ではないけれど、それを知らないこの人に説明するのも面倒だった。

「へぇ。どれくらい待ってるの?見てたけど、かなり待ってるよね?」

「え?」

一人でいるところを見られてた?

いったいいつから……

「彼氏。来ないんじゃないかな?」

きょろきょろと辺りを見回してまた目を合わせる。

「ちょっと用事で離れてるだけですぐに戻ってくるから」

素っ気なくそう答え、あたしは座っていた席に戻った。

コンビニ男は同じような格好をした友達らしき人たちに話しかけられ「先に行ってて」と手を上げて友達と別れるとこっちにやってきた。

躊躇なくあたしの前に座るとエナメルバックを肩から下す。

「あの……」

「あの時の人が彼氏なの?」

「いえ……違うけど」

この人何なの?

「そう。あの人怖かったから……そっか違うんだ」

何に納得したのか分からないけど、男は頷くとあたしを見た後、背後に視線が移る。

気になって振り返り自分の後ろを見ると、少し離れたところでリクがこっちを見て立っていた。

「あれが彼氏?へ~」

男は立ち上がると荷物を肩にかけ、やっと離れてくれるみたいだった。

「今度偶然会ったら運命だね」

ニッコリと爽やかな笑顔でそう言うとリクがいる方とは反対側の出口へ歩いて行った。

何だったんだろ?


入れ替わるように来たリクがあたしの隣に座る。

「誰?知り合いの人?」

「う……ん?知ってるっていうか……それより、リクは何しに行ってたの?」

「内緒♪」