「…どしたの?守風ちゃん?急に黙り込んで」



「別に。あんたのいう夢のある願いを考えてただけだよ」



「何か思いついたの?」



「そうねぇ。…魔法の国の王子が現れてあたしのファーストキスを奪っていくとか?」



「あっははは!守風ちゃんには似合わなすぎる願いだね!」



「うっさい!あんたが言い出したんだろーが!!つか笑い過ぎだ撫子!!」



「あっはは!ごめんごめん。守風ちゃん、叶うといいね!その願い!」







叶ってたまるか。




魔法の国なんぞあるわけがないし。









「わからないよー。もしかしたらあるかもだし!…ね、そろそろ行こうよ!ご馳走、みんなに食べられちゃうかもだし!」






はっ!



そうだった!




あたしのローストチキン!!





残ってなかったらあいつらただじゃおかねー!!









――こうして高校2年のあたしのクリスマスは過ぎていった。