幻聴じゃない。 彼女は僕の名を呼んだ。 2年前と同じ声で。 彼女は僕に微笑んでいる。 その顔は何も変わらない。 全て同じだ。 ただ車椅子に乗っていることを除いては――。 「…――っ!」 声が出ない。 嬉しくて嬉しくて。 会いたくてたまらなかった。 僕も彼女の名を呼びたいのに。 僕の中の気持ちが、感情がコントロールできない…っ。 そんな僕の答えを待たずに夏南はまた話しはじめた。