夏南が病院に運ばれてから僕は事件の内容を知った。 右折しようとした乗用車から僕を庇い、夏南が事故に遭ったのだと。 夏南は病院に運ばれてすぐ緊急手術が行われ一命を取り留めた。 けれど傷は治っても下半身に麻痺は残るとそう医師が告げた。 つまりそれは彼女の陸上人生の終了を意味していた。 彼女はもう、走ることは疎か、歩くことさえ困難になる。 あれだけ走ることが好きだった彼女。 その事実を知ったら彼女はどうなるのだろう―。