「あたしん家に決まってんでしょ。この時間じゃ柑一市行きの電車なんてないし。傷の手当と寝床くらい提供してあげるわ」 「で、でも、何で…!?」 「何よ。ここで野宿したいなら止めないけど。でもんなことしたらあんた朝日を見ることなく凍死してると思うけどね」 選択の余地もなく僕は彼女の言われるがままに従った。 しばらく歩いて彼女の家に到着した。 そこは趣のある、今じゃちょっとめずらしい一階建の木造の家。 扉を開けるとそこは玄関ではなく道場だった。