宏介。

あなたは幸せだね。

いい親友をもって。

いいお母さんをもって。

かわいい兄弟たちがいて。

色んな人に支えられてる。

裕也くんと舞子に支えられ、帰宅路を歩く宏介を見ながら、そんなことを思っていた。

裕也くんが、チャイムを押すとお母さんが出てきた。

「裕也くん、舞子ちゃんありがとう。」

二人がいることに驚かない様子を見ると、多分この人は、知っていたのだろう。

その後、二人は帰り、宏介は部屋でぐったりしていた。

宏介には、8歳になる弟と、3歳になる妹がいる。

「ママ、お兄ちゃんどうして、元気ないの?怪我したの?」

「お兄ちゃんね、とっても悲しいことがあったの。
だから今すごく悲しい気持ちなの。
お兄ちゃん今ね、頑張ってその悲しい気持ちと戦って、いつもの優しいお兄ちゃんになろうとしてる。
だから、見守ってあげて。」

妹の美紀ちゃんは、兄の部屋へいくと、宏介の頭を撫でた。

「早く元気になってね。」

ベットに小さな飴玉をおいて、部屋を出る。

それを見て、お母さんは、笑いながら、涙を流していた。