好きだ好きだ、大好きだ。


だけどその後、亜矢ちゃんが口にした言葉で、時が止まってしまった。

「で? 何て名前なの、あの人!」
「……知らない」
「は?」
「聞き忘れた」
「はぁ!? 何それ! 意味わかんないんだけど! 名前だよ!? nameだよ!? そこ、基本でしょう!?」

一瞬の沈黙の後、マシンガンのように次から次へと言葉を繋げる亜矢ちゃんに、

「亜矢ちゃん」
「え!? 何!?」
「口、よく乾かないね」

すごく感心。“あんたスゴイよ”って。

だって、別に名前なんて呼ぶ必要もなかったし、向こうだって、ずっと“あんた”とか“お前”と言ってたし。

「……もう、いい」
「そう?」

うなだれる亜矢ちゃんは、呆れたように頭を振りながら、大きな溜め息を吐き出した。