好きだ好きだ、大好きだ。


「ねぇー」
「んー?」
「見本!」
「はい?」
「見本みせてー!」

返事も待たずに小銭を機械に放り込んだ私に、一瞬驚いたような顔をした彼だったけど――

「じゃー特別、右打ちで。危ないから外出てて」

そう言うと、また楽しそうに笑いながら、細長いカバンに入っていた試合でも見かけたマイバットを取り出したんだ。

「やったぁ!」

両手を上げて万歳しながら喜んだ私を……

「――……っ」

一瞬目を細めて見たあなたの表情に、また心臓が跳ね上がる。

いやいやいやいや。
落ち着け私。

胸に手を当てながら打席を出た私は、後ろに置いてあるベンチに腰掛ける。

そんな私の目の前では、さっきまでの表情をスッと真剣なものに変えた彼が、まるで私がやっていた物とは別の事みたいに、バカバカとその球を打ち返していく。

私はその様子を、一向に治まらない速い鼓動のまま、ぼーっと眺めていたんだ。