「あの、これに連絡先書いてもらえませんか?」
「……“ウサギさんノート”?」
「あっ!! あの、タイトルは気にしなくていいので!!」
怪訝そうに眉を寄せたその人が、ノートの表紙に書かれていた文字を、これまた怪訝そうな口調で読むもんだから、私は慌ててそのページを捲る。
「お金、必ず返します!! だから、ここに書いて下さい。あと……」
こんな事を頼むなんて情けないけど、背に腹はかえられない。
「おっ……!!」
「“お”?」
「お金を……貸して下さいっ!!」
「は?」
「あと400円ばかり!! お願いします!! だって、せっかく来たのに帰るのは嫌だし、帰るにしても帰りのバス代がないし……」
「……」
いや、わかってるんだよ?
これがいかに常識から外れたお願いごとかって事は、わかってる。
華はまだしも、あの亜矢よりも頭の悪い私でさえ、それはわかってるんだけど……。

