「あの……また乗るので、その時ではダメでしょうか?」
半分泣きながら運転手さんにそう訴えると、運転手さんは大きな溜め息を吐いた。
「いるんだよねぇ、そう言ってもうこのバスに乗らない子」
「へ?」
「だいたいね、今時の高校生ってのはなってない」
「は?」
「バスを自分のものと勘違いしてるのか、ギャーギャーうるさいし、音楽の音も大きすぎる」
「えっと……」
「君、どこの学校?」
「北高です」
「あぁ、北高ね。頭はいいけどダメだね。この前もいたんだよ。1万円札を千円札にくずしてくれとか言ってきた子がねぇ」
「……」
――それは、私とは全く関係ないのでは?
「その時はさすがにガツンと言ってやったけどね。いや、おじさんは本当は優しいんだよ? 優しいがゆえに、見逃せない事ってのがあるんだ」
「……」
私は、バスを降りるボタンを押しつもりが、
「わかるかい? 君だって大人になるんだろう? 大人になったら――」
どうやら運転手さんの別のボタンを押したらしい。

