「あのね、昔みたいに、手を繋いで出かけたい」
“うんうん”
「あとは、美味しい物一緒に食べて、“美味しいね”って言いながら半分こして」
“うん”
雲が出ている今日の空は、紺色で――。
「“好きだよ”って……言ってもらいたい」
最後に口にしたその言葉は、何故か涙で震えていた。
そういえば、いつからだろう。
彼が私の事を名前で呼ばなくなって、“好きだよ”って、言わなくなったのは。
「やっぱり、もう私のこと好きじゃないのかな……っ」
膝を抱えて、顔をうずめて。
聞き取りにいモゴモゴとした声は、そこに重たい空気だまりを作る。
今までは思うだけで、それを何とか打ち消してきた。
だけどこうやって口に出してしまったら、それが現実なんだって、自分で認めたような気分になってしまう。

