好きだ好きだ、大好きだ。


「あぁ! 華っ!! こんな所にいた!! もう城戸君の試合始まるよ!?」

夏希君が立ち去ってからどれくらい経ったのか。私の元に駆け寄った亜矢ちゃんに、ハッとした。

「まだ始まってないの?」
「さっきまでシートノックしてたから」
「“シートノック”……?」
「あぁ!! もうそんな事どうでもいいから!! 早く行くよ!!」

痺れを切らせた亜矢ちゃんに腕を掴まれてスタンドに戻る私の頭の上には、夏希君の帽子。

「……上手くいった?」

それに気付いた亜矢ちゃんが、歩きながらそんな質問を口にする。

「よくわかんない」
「何だそれ」

よく分らないけど。でも、私のほっぺたに触れた夏希君の手の平が熱くて、

「でも、大丈夫」
「……」

真っ直ぐな瞳も、言葉も、すごく嬉しくて。