「はぁー……っ」
走ったせいと、暑さのせいと、動揺していたせいと。
とにかく、色んなものが相まって、頭がクラクラして、胸が痛む。
しゃがみ込んだ足元に、涙がポトポト零れ落ちて……。
「なんで逃げちゃったんだろう」
今更思っても仕方がない、そんな後悔の言葉を口にした。
――ちょうど、その時だった。
「ホントだよ」
「……っ」
少しだけ息を切らせたその声に、私の息はヒュッという変な音を立てたあと、止まった。
「ハナちゃん」
「……」
風が横を通り過ぎて、目の前に誰かがしゃがみ込んだ気配がする。
「ハナちゃん。顔上げられる?」
“誰か”?
“誰か”じゃないよ……。
ブンブンと頭を横に振る私を、クスッと笑って
「じゃー、そのままでいいから、聞いて?」
優しい言葉を落とす、その人。

