呆れる私の横に“よっこらせ”なんて、決して乙女とは言えないような声と共に座った亜矢ちゃん。
「さっきまで、城戸君たちの学校の練習時間だったらしいよ」
そう言って、私達が座っている場所とは反対側のスタンドを指差した。
そこには、白とモスグリーンのユニフォームを着た人の集団。
「……っ」
ダメだなぁ、私。
もう逢いたくて、逢いたくて、どうしようもない。
「亜矢ちゃーん……」
「はいー?」
「なんでこんなに好きなのかなぁ」
「……」
「私、キモいかも」
だって、こんなに離れていて、あんなに人がいて。
それなのに……。
こんなにも簡単に、あなたを見つけてしまうんだもん。
少しだけ滲んだ視界の先には、背番号2番を付けた、その後ろ姿。久しぶりに見た夏希君は、また少し日焼けをして、髪が伸びて……。
「まぁ、恋する乙女なんて、気持ち悪くてナンボでしょう」
隣でそう言って笑う亜矢ちゃんに、何だかホッとして笑ってしまった。

