好きだ好きだ、大好きだ。


お母さんに見送られて家を出て、最寄りの駅まで歩く事10分。そこから、少し離れた球場に電車で向かう。
休日の電車の中は、沢山の家族連れとカップルと、友達グループでガヤガヤと騒がしい。

そんな中、1人で心臓をバクバクさせている私は、気持ちを落ちつけたくて窓の外に視線を向けた。

“城戸君ね、今年はあんまり調子よくないみたいだよー”

すごいスピードで通り過ぎていく、広葉樹の緑をぼんやりと目で追いながら、頭に浮かんだのは亜矢ちゃんの言葉。

夏希君はスポーツの特待生で西峰高校に入って、親元を離れて、1人で知らない土地で野球をリスタートさせた。

そんな環境で、1年生の時から強豪校のレギュラーで……。
それってきっと、心も体もすごく強くないと無理だと思うんだ。

「……」

思い出せば、夏希君が買い物の時に買っていた物は、パンとかカップラーメンとか、そんな栄養バランスとは程遠い物ばっかり。