好きだ好きだ、大好きだ。



「ハナちゃん、今日は本当にありがとうね」
「いえ! 明日から、またヨロシクお願いします!!」

ニコニコと笑いながら私をドアの所まで送ってくれた佐野さんにガッツポーズを決めた私は、その扉が閉まった瞬間、小さく溜め息を吐き出した。

「……」

どうしてだろう?

更衣室で着替えを済ませ、1ヶ月前と同じように、打席の裏のネットを指で弾きながら、ポテポテと歩く。

会社帰りのサラリーマンに、大学生カップル。それに、飲み屋のお姉さん。
1ヶ月前と変らない景色の中に、変わった所が1つだけ。

「夏希君、どうしたのかな……?」

小さく呟きながら立ち止まった、いつも夏希君が立っていたその打席。
そこに、彼の姿を見つける事は出来なかったんだ。