「うん。……ごめんね」
「いや、今日1日外に連れ出しちゃったの俺だし」
違うの。
“嘘を吐いてごめん”ーーそれが、私が口にした“ごめん”の本当の意味。
「ごめんなさい」
「そんなに気にする事じゃねぇだろ」
笑いながらそう言った夏希君は、机の上のカギを手に持って玄関に向かう。
その後ろをついて行きながら、扉を閉める瞬間、振り向いた瞳に映ったのは、机に伏せられた写真立て。
どうして見ちゃったんだろう。
ううん。
見たって、見なくたって同じなワケだから、むしろ見て良かったのかもしれない。
今だったら、まだ間に合う。
「……っ」
――間に合うかな?
夏希君に抱いてしまった、この温かくて、まん丸な優しい気持ち。
今だったらまだ、それをなかった事に出来るかな?

