好きだ好きだ、大好きだ。


机の上にあったのは、きちんとした写真立てに飾られた、1枚の写真。

「あれ、去年の甲子園の時ので……」
「そっかぁ。仲良いんだね!」
「まぁ、普通」

モゴモゴと何かを誤魔化すようにそう口にする夏希君に、私はもう笑うしかなかった。

だって、無理矢理にでも笑わないと泣いてしまう。

集団で写っていたその写真の、最前列。
真ん中には、賞状を持ってしゃがむ、今よりも少し幼い夏希君。

「あっ! そろそろ行かないと、ホントに遅刻しちゃう!」
「おー、ホントだ」
「早く行こ!」

早く、ここから出たい。
この部屋から出て、バイトに行って、今見た事を忘れたい。

「どした?」
「ううん! 明日までの宿題がいっぱいあったの忘れてた!!」
「あーあ。ドンマイ」
「だから……」
「ん?」
「今日、バイトの後すぐに帰らないとだ」
「そっか。そりゃ残念」