「何それ!!文明機器は好きじゃないとかってやつ!?」



「え・・・・いや、その・・・・」



言えるはずがない。



江戸時代の人だなんて。



だけど、久しぶりに思い出したのか、睦月は嬉しそうにゆっくりと口を開いた。




「でもね、優しい人だったよ。毎回丁寧に返事くれるし、面白くて、文通してるのが楽しかったな・・・」



熱くて飲めなかったお茶をやっと口に入れることができ、満足そうに湯呑みをテーブルの上に置いた。



「でもね、あたしが高校受験の前、三ヶ月くらい文通止めちゃってて・・・久しぶりに書いたんだけど、ちゃんと待っててくれて・・・返事かえってきたんだよ。本当優しい人だった」



幸せそうにあらぬ方向を見つめる睦月に、二人は不思議な顔をしてみせた。



「何か、睦月が自分のこと話すのって珍しいね」



「えっ!?そ、そんなことないって!!・・・多分」



そう言われ、どうして言いか分からなくなった睦月は、とりあえず再びお茶に手をつけた。



「もっと聞きたいです!!睦月さんの話!!」



「べ、別にもうないけどっ・・・」