久しぶりの海は懐かしい匂いでいっぱいで、沖田のことを事細かく思い出させた。



修学旅行で30分近く沖田を待ったこと。



斎藤さんに拾われたこと。



沖田とキスをしたこと。



涙ながら手を振ったこと。



全部全部、この海だった。




睦月が歩くたび、ヒールが砂浜に小さな穴をあける。



もちろん気付くことなく、そしてそのまま海を見て左手のほうにある大きな岩を目指した。



沖田との約束の場所。




ここで、沖田からの本当に150年の時を越えた手紙を拾った。



睦月は面白半分で岩の下を覗いた。



「・・・・・・嘘でしょ・・・」



もう昇りきった太陽に反射してキラリと光る物体。



それが“何か”なんてもう言わなくても分かりきったもの。




ビンだ。