結局、僕は・・・
情けない姿を晒しただけだった。

去って行く瑠璃ちゃんの後ろ姿。
気の利いた言葉も残せず、ただ頭を下げるだけ。


帰宅後、史也に電話をしたが、最後まで小山内さんの言葉は教えて貰えなかった。

当然か――。

きっと格の違いなんだろうな。


僕より年下とはいえ、代々続くオサナイ・コーポレーションの代表。
それに比べ、僕は単なる起業家の端くれ。

たまたま運良く経営が軌道に乗っただけの話。
言葉の持つ重みが全然違うんだろうな。

そして送られた言葉は・・・

「≪仕事≫と≪私事≫の区別はつけろ。
秘書をもっと教育して活用しろ。
女の影が消えるまで、瑠璃には近付くな」

この3点だった。