次の日も、重い足取りで緋笙流の会館へ向かう。

前から歩いて来るのは…かつては兄弟子として慕っていた相手。

「おはようございます」

「やあ、如月さん、おはよう。
随分とお疲れの様子だけれど?
君がそんなにぐったりする程…家元って激しいんだ?
いい年したオッサンが、お盛んだね~」

いやらしい笑みを浮かべてる・・・。
それって…私が家元の愛人だと?

「女はいいよなぁ、武器があって。
気に入られたら、出世も早い。
あっという間に立場が逆転するから、こっちはハラハラされっぱなしだ」

あからさまな侮辱。

「心外って顔だな?
でも大抵の幹部はそう思ってるよ。
君が若さを武器に手に入れた、とね。
まぁ、若さと云うか…体を張ってご苦労なこった」