忌々しく思う。

でも、どこまでも話そうとしない彼女。

このまま追い詰めるのは得策とも思えず、今日のところは諦める事にした。


「瑠璃ちゃん、本当にごめんね。
あのまま君が連れ去られてたらと思うと…ゾッとする。
一生、君にあわせる顔なんて無いし、史也の信用も失うところだった。
君が無事で心からホッとしてる。

来週からはアメリカ出張で、しばらく会えないけれど…メールは入れるから。
今日はゆっくり休んで…ね?」

「はい・・・。
本当にありがとうございました」

そう言いながら最敬礼で頭を下げる彼女。

「おやすみ」

そう言い残して、僕はタクシーへ戻った。