「じゃ、瑠璃に送らせるから、流星乗って?」

史也に言われて、車に乗る。

一人、後ろのシートに座り
時折、バックミラー越しに彼女の顔を見る。

「行き先はマンションでいいんだっけ?」

「いや、今日は実家に帰ろうかな。しばらく帰ってないし。
店まで送ってくれる?」

「お安い御用だ。おばさん達喜ぶだろな?
じゃ、瑠璃、俺が道案内するから安心して運転しろ」

なんとも勝手な史也の言い草。
それでも、そんな史也にからかわれながらも、一生懸命に安全運転を心掛ける彼女。


正直…
可愛いと思った。


彼女だって、僕の苦手な女性に変わりないはずなのに…。


なんだか
不思議な気分だった。