ジェフティ 約束

 外では、村人と国王軍のにらみ合いが続いていた。村人は腕を組み、背中に剣をつるしている。
「まったく、頑固な連中だ」
 と、アスベリアは馬上でつぶやいた。どう見ても、村人に勝ち目はないというのに。
 どうやら村人達は、巫女姫を差し出す気はまったくないらしい。アスベリアがため息をついたその時、長身の見知った男が、村人達の生垣を掻き分けアスベリアに向かい歩み出てきた。
 アスベリアの後ろに控える国王軍がざわつく。それをアスベリアは片手を挙げて制した。
「ふん、ようやくお出ましか。ノリス=ペルノーズ」
 アスベリアの語り掛けに、ノリスがうなずく。国王軍の兵士たちのささやきがどよめきに変わりみるみる広がっていく。

 ――あれが戦場の鬼神、ノリス=ペルノーズか!