ジェフティ 約束

 リリールは悲しげに首を振った。蒼白な顔が痛々しい。
「私たちがここに来てしまったために、この村の人たちが危険にさらされているのです。私たちがおとなしく出て行けば、この村は助かります」
「それはどうかね」
 とシモーヌは悲しげにつぶやいた。
「あやつらは最初から、この村を焼き討ちにするためにきたと思うが」
「そんな!」
 ラルフの首に回されていたジェイの腕が、びくりと跳ね力がこもる。
「逃げよう……、後は父さんとノリスに任せるんだ」
 ラルフはノリスの長剣を握り締め、精一杯気持ちを奮い立たせた。しかしそれでも、声が震えるのを抑えることはできなかったが。
 ――後ろを振り返っちゃいけないんだ。