ジェフティ 約束

「お前が握る資格がないと思うのは、あの剣のことだろう。これは、村人の命を救う剣だ。私とお前でできるだけ村人を逃がす」
 ノリスはダルクから受け取った剣をぎゅっとつかむと、床下の倉庫にかがみこみ、布に包まれた長い包みを取り出した。
「ラルフ、これをお前に」
 ノリスが解いた包みには一振りの長剣が納まっていた。
「この剣はお前が使うにふさわしい。ジェイをつれて逃げろ。今すぐ裏口から婆様の治療院へ行け」
 ラルフはノリスが差し出した剣にこわごわ手をのばした。ずしりと重たい長い剣の感触が両手に降ってくる。ラルフは何も言えず、ただ唇をかみ締めていた。
「早くしろ!」
 ダルクはそんな黙り込んでいるラルフの腕をつかむと、裏口から外へと乱暴に放り出した。
「いいか、ラルフ、生きろよ!」
「父さん!」
 振り返ると同時に、裏口の戸が閉められた。