ジェフティ 約束

「テルテオの民は、昔からお人よしばかりでね。困っている人を見ると助けない訳にはいかないらしいのだよ。あなた方が始めてということではないのだ」
 そうだよなと、ラルクはノリスに視線をやる。
 テルテオの民は思う。自分たちの信念を曲げてまで、他人を犠牲にしてまでも我々が生きる道がどこにあろうかと。
「ありがとうございます。……あなた方の未来に光があらんことを」
 リリールはうつむいてつぶやいた。

 しかし、ここにいる誰もが、このなんの変哲もない日常の営みが、そう遠くない未来に陰り消え行くことを予想できないでいた。迫りくる闇に気が付かないほど、ラルフとジェイの幸せそうな笑顔は光り輝き、明日は必ずやってくるのだと疑うことも知らずにいた。